新しいエコシステムの創設において、銀行は技術革新の導入者になるかもしれない。ズベルバンクのゲルマン・グレフ頭取(元経済開発貿易大臣、2000年代初めの改革案作成者)は13日、このように話した。
「ズベルバンクの転換が成功したら、金融分野全体の転換をもたらすだろう。ズベルバンクのこの分野への影響力は十分に大きいものであるため」とグレフ頭取。転換の段階の一つとなり得るのが、職員の上下を決めない縦割りから横割りへの移行だという。ロシアの大手製鉄会社「セヴェルスタリ」のアレクセイ・モルダショフ社長は、「人間関係をいかに正しく構築するかということは、我々にとって重要な考え方の一つ。会社を発展させられるのは人だけ」と話す。ただ、製鉄産業への技術の導入は、銀行分野を含むサービス分野よりも難しいという。
ズベルバンクの構想
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先月、ズベルバンクがロシアのエコシステムの構築プロジェクトに取り組んでいることが明らかになった。このシステムは、統一技術プラットフォームから広がる企業網で、企業は顧客向けの立案でこのサービスを活用できる。ロシアの新聞「コメルサント」がこれを伝えている。このようなシステムをすでに、アメリカのグーグル、アマゾン、フェイスブック、中国の騰訊控股(テンセント)やアリババが創設している。ズベルバンクの試算によれば、ロシアではこのようなプロジェクトの経済規模が2025年までに65兆ルーブル(約120兆円)になる可能性がある。システムは大きな業界を引き込む可能性がある。消費財、不動産、教育、医療、旅行、レジャー、通信、国家サービス、ソフトウェアおよびアプリケーションの開発、ビジネス・サービス、建設、製造、金融サービスなどだ。「ズベルバンクの動きはわかりやすいし、商業的に妥当である。世界のインターネット商取引市場は急速に発展しており、商業銀行はその決済に関わっているだけでなく、小売市場向けの、また一般消費者向けのサービスの事業者として、市場の積極的な参加者になっている」と、「ロシア経済・国家行政アカデミー」事業・経営研究所のエミリ・マルチロシャン准教授は話す。
主なトレンド
このようなシステムを構築するための前提条件の一つとなるのは、電子決済の開発だという。「電子商取引は全世界で勢いづいている。一部の商品の売上高の増加は、従来型の取引に比べて目立っている。ズベルバンクのプロジェクトは時代に合っていて、持続可能だと思う」と、ロシアのFX会社「テレトレード」の上級アナリスト、アレクサンドル・エゴロフ氏は話す。アリババや他の取引プラットフォームの事例は、国内だけでなく、国際的にもいかに急速かつ順調に発展しているかを示しているという。「このようなサービスの人気と経済的妥当性を考えれば、見通しは明るい」とエゴロフ氏。ロシア製ソフトウェアへの移行計画および国内サーバーでの個人データ保管要件に、このプロジェクトが加えられる可能性もある。
世界のオンライン取引のサービスは多種多様だ。アリババ集団には、アリエクスプレス、アリババ・コム、淘宝網、天猫網などがあり、そこで取引が行われている。そして、金融部門のアリ金服、クラウドサービスの阿里雲、物流網の菜鳥、オンライン広告サービスの阿里媽媽、映画スタジオ、ウェブブラウザ、ビデオポータル、オペレーティング・システムも入っている。とはいえ、このようなシステムを構築するには、商品で満たす必要があるが、現在それほどの量の商品は国内で生産されていないと、ロシアの投資会社「フリーダム・ファイナンス」ロシア株式市場運用管理責任者のゲオルギー・ヴァシチェンコ氏は話す。
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